用語集

低リスク資産

低リスク資産とは、投資においてリスク(特に価格変動リスクや信用リスク)が比較的低いとされる資産のことを指します。これらの資産は、投資元本の安全性を重視し、安定したリターンを提供することを目的としています。一般的に、低リスク資産は大きなリターンを期待できないものの、資本保全が重視されるため、リスク許容度が低い投資家や資産を守りたい人に適しています。

主な低リスク資産の種類

  1. 国債(政府債券)
    • 概要: 国が発行する債券で、政府が元本と利息の支払いを約束しています。特に経済が安定している先進国の国債は、非常に低リスクとされます。
    • : 米国債、日本国債、ドイツ国債など。これらは、国家が破綻しない限り、元本と利息が確実に支払われると考えられています。
    • 利点: 安定した利息収入と元本保全の確実性。
    • リスク: 通貨リスク(外国通貨建ての場合)、インフレリスク。
  2. 預金(定期預金・普通預金)
    • 概要: 銀行に預けるお金で、利息がつくことが一般的です。預金保険制度により、一定額までの元本が保証されています。
    • : 銀行の普通預金、定期預金。
    • 利点: 預金保険による元本保証と即時の流動性(現金化のしやすさ)。
    • リスク: インフレリスク(インフレ率が預金金利を上回る場合、実質的な購買力が低下する)。
  3. マネーマーケットファンド(MMF)
    • 概要: 短期国債、コマーシャルペーパー、預金証書など、短期の低リスク資産に投資するファンドです。リスクは非常に低く、流動性が高いです。
    • : マネーマーケットファンド(MMF)は、投資信託の一種で、安全性を重視した運用が行われます。
    • 利点: 安全性と流動性の高さ。
    • リスク: 利回りが低く、インフレリスクに対する防御力が弱い。
  4. 高信用格付けの社債
    • 概要: 信用格付けの高い企業が発行する債券です。企業が元本と利息の支払いを約束します。国債よりややリスクは高いものの、安定した収益を提供します。
    • : トリプルA格付けの企業の社債(例:Apple、Microsoftなど)。
    • 利点: 国債より高い利回り。
    • リスク: 信用リスク(発行企業が破綻するリスク)、流動性リスク。
  5. 上場投資信託(ETF)での分散投資
    • 概要: 株式、債券、不動産などの分散されたポートフォリオを提供するETFの中には、低リスクを目指したものがあります。これらのETFは、安全性の高い債券などに投資します。
    • : 債券型ETF、国債ETFなど。
    • 利点: 分散投資によるリスク低減と市場流動性。
    • リスク: マーケットリスク、価格変動リスク。
  6. 現金およびキャッシュ・イコバレント
    • 概要: 流動性の高い資産で、現金またはすぐに現金化できるもの(キャッシュ・イコバレント)。インフレを除けば、リスクはほとんどありません。
    • : 現金、短期預金、国庫短期証券(Tビル)など。
    • 利点: 高い流動性と元本保全。
    • リスク: インフレリスク、実質的なリターンの低さ。

低リスク資産の利点とデメリット

利点:

  • 元本保全: 資産の価値が減少するリスクが低く、安全性が高い。
  • 安定したリターン: 高いリターンを追求するわけではないが、安定した収益が期待できる。
  • 低いボラティリティ: 価格変動が少なく、安心して保有できる。

デメリット:

  • 低リターン: リスクが低い分、期待できるリターンも低い。長期的にはインフレに追いつかない可能性がある。
  • インフレリスク: インフレが進むと、実質的な購買力が低下するリスクがある。
  • 機会損失: よりリスクの高い資産が上昇する局面では、低リスク資産を保有していることでリターンの機会を逃す可能性がある。

まとめ

低リスク資産は、資産を安全に保ちながら、安定したリターンを得たい投資家にとって適した選択肢です。特に、リスクを避けたい場合や、市場の不確実性が高いときに有効です。ただし、長期的なリターンを求める場合には、ポートフォリオの一部をリスク資産に割り当てることも検討する必要があります。低リスク資産と他の資産クラスを組み合わせることで、バランスの取れた投資戦略を構築することができます。