用語集

ニューヨーク証券取引所

 

ニューヨーク証券取引所（New York Stock Exchange, NYSE）は、アメリカ合衆国のニューヨーク市にある世界最大の株式取引所で、世界的に最も有名かつ影響力のある金融市場の一つです。ウォール街に位置するこの取引所は、アメリカの経済の象徴として広く認知されており、株式市場のグローバルな中心地として機能しています。

ニューヨーク証券取引所の特徴

  1. 歴史:
    • NYSEは1792年に設立され、230年以上の歴史を持っています。その起源は、ウォール街のプラタナスの木の下で24人の証券仲買人が署名した「バトンウッド協定」にまでさかのぼります。この協定が、現在のニューヨーク証券取引所の前身となりました。
  2. 取引形態:
    • 伝統的に、NYSEは「フロア取引」を行ってきました。これは、取引所のトレーディングフロア（取引場）で仲買人が直接取引を行う形式です。取引フロアの象徴的なシーンである「場立ち（open outcry）」による取引が特徴的でしたが、現在では電子取引も広く導入されています。
  3. 上場企業:
    • NYSEには、世界中の企業が上場しており、その中にはアメリカを代表する多くの大企業があります。これには、Apple、Microsoft、Coca-Cola、Walmart、ExxonMobilなどが含まれます。上場企業は厳格な財務基準やガバナンス基準を満たす必要があり、NYSEに上場することは企業にとって一種のステータスでもあります。
  4. 時価総額:
    • NYSEは、上場企業の時価総額が世界最大であり、取引される株式の総額は他の取引所を圧倒しています。これは、NYSEがグローバルな投資家にとって重要な市場であることを意味します。
  5. 主要指数:
    • NYSEは、ダウ・ジョーンズ工業株30種平均（Dow Jones Industrial Average, DJIA）やS&P 500など、世界的に影響力のある株価指数の計算に関わっています。これらの指数は、米国株式市場全体のパフォーマンスを測る指標として広く使用されています。
  6. 上場基準:
    • NYSEに上場するためには、企業は特定の財務基準を満たす必要があります。これには、最低限の利益、時価総額、流動性、および企業ガバナンスの基準が含まれます。これらの基準を満たすことで、企業はNYSEに上場することができます。

ニューヨーク証券取引所の役割

  1. 資本調達の場:
    • 企業はNYSEに上場することで、株式を発行し、投資家から資本を調達することができます。この資本は、新たなプロジェクトへの投資、研究開発、企業の成長などに利用されます。
  2. 流動性の提供:
    • NYSEは投資家にとって、株式を売買するための流動性の高い市場を提供します。株式市場の流動性が高いことで、投資家は容易に株式を売却して現金化することができます。
  3. 価格発見機能:
    • NYSEは、株式の売買を通じて市場価格を決定する「価格発見機能」を提供します。これは、投資家が企業の価値を評価し、株価が需給に基づいて適正価格に調整されるプロセスです。
  4. 経済の指標:
    • NYSEの株価動向は、アメリカ経済全体の健康状態を示す重要な指標とされています。投資家、政策立案者、経済学者は、NYSEの動向を通じて経済のトレンドを読み取ります。

ニューヨーク証券取引所の取引時間

  • 通常取引時間:
    • NYSEの通常取引時間は、東部標準時（ET）で平日の午前9時30分から午後4時までです。日本時間では、通常取引は日本時間の午後11時30分から午前6時までとなります。
  • プレマーケットおよびアフターマーケット:
    • これに加えて、通常取引時間外に取引が行われるプレマーケット（開場前取引）やアフターマーケット（閉場後取引）のセッションもあります。これにより、投資家は通常取引時間外でも売買を行うことができます。

ニューヨーク証券取引所の歴史的な出来事

  1. 1929年の大恐慌:
    • 1929年の株価大暴落（ブラック・サーズデー、ブラック・マンデー、ブラック・チューズデー）は、NYSEの歴史で最も象徴的な出来事の一つであり、世界的な大恐慌を引き起こしました。この事件は、株式市場の危険性やリスク管理の重要性を強調するものとして歴史に刻まれています。
  2. 1987年のブラックマンデー:
    • 1987年10月19日、NYSEは歴史的な大暴落を経験しました。この日は「ブラックマンデー」として知られ、株価が一日にして22%以上下落しました。これにより、取引システムの脆弱性やリスク管理の必要性が再認識されました。
  3. テクノロジーの進化:
    • 2000年代に入り、NYSEは電子取引の導入を進め、より効率的で迅速な取引を実現しました。これにより、従来のフロア取引から電子取引への移行が加速し、世界中の投資家がリアルタイムで取引に参加できるようになりました。

ニューヨーク証券取引所の影響力

NYSEは、アメリカ経済のみならず、世界経済に大きな影響を与える存在です。NYSEの動向は、他の国々の株式市場や通貨市場、さらには国際的な経済政策にも影響を及ぼします。また、企業がNYSEに上場することは、その企業の国際的な評価や資本調達能力に大きな影響を与えます。

まとめ

ニューヨーク証券取引所は、世界最大かつ最も影響力のある株式市場であり、230年以上にわたってアメリカおよび世界の経済の中心として機能しています。上場企業にとっては、NYSEでの上場は信頼性と地位を高める機会であり、投資家にとっては、安全で流動性の高い取引の場を提供しています。NYSEの動向は、アメリカ経済や世界経済全体の健康状態を測る重要な指標であり続けています。

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